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【書評】機械脳の時代〜データサイエンスは戦略・組織・仕事をどう変えるのか?〜

人工知能時代を生き抜くビジネスパーソンとして、データサイエンス、人工知能を企業経営と結びつけて考えることが求められています。本書は「その背景下で個人はどうすべきか?」まで論じてあり、本書はキャリアを守る上でも非常に貴重な指南書です。
 
 

「考える機能」の機械による代替は、企業戦略だけでなく、個人のキャリアや能力開発にも甚大な影響がある

無論、単に1つの要素技術(データサイエンス)の登場だけで、今まで培ってきた経験や、個人の市場価値が無に帰するわけではありません。しかし、鉄砲の登場で戦が変わったように、新たな武器が登場すればその強力さに比例して旧来の戦略や戦術の変化も大きなものになります。その運用を担う個人や組織に期待される能力が変わることも必然でしょう。
地殻変動が起きている人工知能・データサイエンス領域は今後決して避けて通れなさそうです。特に「考えるという機能の代替」が進んでいるため、この武器を味方につけておくべきでしょう。その中で「まずすべきこと」は何でしょうか?
 
コンピュータの登場によってさまざまな仕事が自動化され、もはや以前の働き方に企業や個人が戻ることが困難なのは論を待ちません。まずは機械学習の本質を理解し、流行語やツール導入を煽る!「雑誌や、自称「専門家」に踊らされないようにするための見識と視座を身につける必要があるでしょう。
どうせ遠い未来の話をしているんじゃないか?と考えられるこの話題ですが、実際に今現実に起きている技術であり、事実なのです。

本書を読む上での目的

ビジネスパーソンとして長期のキャリアを考える上で、本書を読んでいるのといないのとでは、大きな差が付いていくと思います。
 
本書は、未来ではなく今すでに起こっていることについて述べています。本書で取り上げるケースも、すでに公知となり、物によってはすでにより優れた取り組みが開発されていて、その意味では過去のものです。本書ではいたずらに「あなたの仕事はなくなるという危機感を煽るつもりもありません。本書は、機械脳の時代においては、仕事はどのように変わるか、自分は何を学べばよいか、そしてどのように個人のキャリアを形成していけばよいか、ということを建設的に考えたい方のために、考える材料·ものの見方の枠組みを提供し、現実的なビジネス場面での活躍の一助となることを目的としています。
 
そうはいっても、私は理系ではないしデータサイエンティストでもない、という人が大半かと思います。かくいう私も理系ですが、プロではないので、悩める子羊の1人です。そんな方のためにも、データサイエンスにまつわる仕事には複数のポジションがあり、チームで仕事をすることが推奨されています。
 
機械脳の時代に重宝されるのは何もデータサイエンティストだけではありほせん。機械脳の構築や活用は個人技ではなくチームスポーツですし、必要とされる人数規模でいえば、データサイエンスとビジネスの架け橋となれる人のほうがずっと多いのです。
 
また、チームや部署内で共通言語として本書を読むことも有意義でしょう。実際の業務で使えるフレームワークや、データサイエンスを考える上でのトレードオフが、非常に分かりやすく記載してあります。本書読んででチーム内で業務をすると、仕事の生産性が大幅に向上するのではないでしょうか。
 
データをもっと上手に活用した組織を作りたい方、データ分析専門の部署が社内にできて間もない方にはまさにうってつけです。複数のメンバーが共通の言語.枠組みで話せるようになるだけで、組織の生産性は大幅に向上します。
 
データサイエンスを用いて何がしたいのか、これが本質かと思います 。本書のゴールとしては企業の経営に焦点を当ててありますので、頭に入って来やすい内容です。
 
本書では、データ競争時代の本質を見据えたうえでの、経営戦略、事業戦略、データ戦略を三位一体で捉えたストーリーを提供したいと思っています。

機械が行う処理は実は3種類

  1. 可視化する
  2. 分類する
  3. 予測する
の3つです。
 
ここまで大胆に仕分けをされると、シロウトの私でも概要つかむことができました。詳細は本書を読んで頂けると良いと思います。
 
特に印象的だったのが、今ある手持ちのデータから考えるのではなく、
そもそも解決したときに効果の大きいビジネス課題は何なのだろう、と考えることが大事。
ということです。ついつい大量のデータを取得してしまいデータの洪水に溺れてしまうことがあると思います。それを避けるためにも必ずこの命題を忘れないようににしたいと思います。
 
テクノロジやサイエンスを経営に活かすということを主眼に置いた本書は非常に有意義ですのでお勧目です。